複雑に入り組んだ心を進むのは簡単なことではなかった。
進む程に胸騒ぎと不快感が増していくのである。
それでも、わたしは進む必要があった。
それは、この胸騒ぎと不快感を取り除くためである。
Tさんは何らかの形でこの感覚に苦しんでいるはずなのだ。
投げ出したい気持ちが蔦(つた)のように絡み付き、わたしを支配していく。
進む程に道は険しくなり、わたしは何度も挫(くじ)けそうになる。
しかしながら、人生には何が何でも果たさなければならない志がある。
わたしにとっては、Tさんの心を苦しめる原因とその問題を解決することがそれであるのだ。