この獣が黒くなったのには理由があるはずだ。
Cさんの童心が傷付いて歪んだのに理由があったのと同じ原理によって、獣は黒くなってしまったのだと推測されるのである。
Cさんの心の中にいた少女が故意に苦しんだ訳ではないように、この獣も現状は不本意であると思える。
ならば、この獣の心の傷と歪みを取り除くことができれば、Cさんの心の中にいた少女のように、本来の穏やかさを取り戻すことができるのではないだろうか?
わたしは獣の心の中の洞窟を進むために、愛情という名の灯火(ともしび)を絶やさないように努め、目の前の黒い獣に歩み寄った。
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