このブログについて

自身の体験をつづりたいと思います。
拙い文章ではありますが、お暇ならお付き合いください。

2014年6月25日水曜日

追憶 655

光の杭を掴む手の力を緩めると、ゆっくりと少女がわたしから離れるように後ろに倒れた。
少女はまるで眠っているかのようであった。
その顔には、幼子に似合う汚れのない純真無垢な表情があるのみだった。
わたしは全身に込めていた力が一気に抜けて、疲労感が停滞しているのを認識した。
その時、わたしは自分自身の感覚と視点が肉体に戻っていることに気が付いた。
瞼(まぶた)を閉じているのだが、そこからCさんの背中の奥に少女が倒れているのが見えるのである。
わたしは右手の人差し指と中指によって、Cさんの背中を円形に二回なぞった。
すると、その線は黄金に輝きを放って、背中に穴を開けた。
その穴はCさんの肉体と霊体の壁を越えて、わたしと少女を繋ぐ扉であった。
その扉に手を差し込むと、わたしは少女の身体をしっかりと掴んだ。

0 件のコメント:

コメントを投稿