次にわたしが見たものは赤黒い煙のような怒りの感情の中にいる自分自身の姿であった。
やはり、ここは不快である。
息苦しく心が落ち着かない。
こんな場所からは早く抜け出したいと強く願う自分がいた。
その時、赤黒い煙の先に人の気配のようなものがあるのに気が付いた。
その気配はまるで蝶を誘う花香のように、わたしに何らかの信号を送っているように思えるのである。
この気配の主が何者であるのかは分からないが、その他には何も無かったので、そこに向かう他方法はないように思えた。
重たい心を精一杯に支えながら、赤黒い煙を掻き分けて進んだ。
進むに連れて、わたしは心が重たくなっていくのを感じていた。
奥に行くほどに心が乱れ、腹立たしさが増していく。
わたしの我慢は限界に近付いていた。
何もかもを投げ出しそうになった時に、目の前に少女が立っているのを見た。
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