赤ん坊が泣き喚(わめ)く光景を前に、わたしは茫然自失(ぼうぜんじしつ)としていた。
	何も無い空間に赤ん坊の泣き声はこだまする。
	その声がわたしに入り、遠くなる。
	悲しい感情が溢れてくるのは気のせいでは無い。
	わたしは頬を伝う涙を認識した。
	赤ん坊が泣き喚くのは、悲しいからなのである。
	小さな胸に抱える悲しみを、わたしが理解することを願っているのである。
	赤ん坊の泣き声は言葉ではないが、そこに意思が込められているのを理解することができる。
	赤ん坊は必死に訴えているのであろう。
	自分にできることで精一杯に努めているのである。
	
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