わたしは胸の鼓動の高鳴りを感じていた。
それは、嬉しい感情から導き出されるものではなく、緊張感や危機感に似ていると思えた。
嫌な気分なのである。
わたしはA子の顔を見た。
すると、A子の大きな瞳からは涙がこぼれていた。
何かしらの感情があって、それを抑えることができなかったのであろう。
わたしにはそれがどのような感情からくるものか分からなかったが、あの赤ん坊の泣き声に関係しているのではないかと思えてならなかった。
「呼びなさい」
大天使ミカエルの声が天から降る雷の様に響く。
わたしはその声に従って、A子を目の前の座布団へと誘導した。
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