わたしの中には哀(あわ)れみが溢れていた。
	悲しい気持ちになり、可哀相なのである。
	吐き気を堪えながら、わたしは泣き喚く赤ん坊に近付いた。
	抱き抱えようと思いしゃがみ込む。
	その時、強烈な吐き気と共に今度は赤黒いものを吐瀉した。
	それは地に満ちて、赤い絨毯(じゅうたん)の様になった。
	すると、赤ん坊が泣き止み、そのままぎこちなく立ち上がった。
	瞼(まぶた)を開いて見せた赤ん坊の眼球のあるべきところには、黒い何かが収まっていた。
	「お前のせいだ…お前が悪いんだ…」
	赤ん坊は確かにそう言った。
	わたしは心に鋭い痛みを覚えた。
	
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