わたしは自分の決断力の無さ、勇気の無さに絶望していた。
	わたしは世間からどう思われるだろうかと考えていたし、Nにどう思われるだろうかと考えていた。
	それに、Nの母親であり友人でもあるCさんにどう思われるだろうかと考えていたし、Nの父親にどう思われるだろうかと…
	とにかく、わたしの頭の中には自分自身を守ろうとする考えが、まるで死体に集(たか)る蛆(うじ)が波を打つように溢れていたのである。
	わたしはそれを振り払えないでいた。
	その情けなさに絶望を覚えたのだ。
	わたしは再び黙ってしまった。
	今までに、多少なりにも女性との交際経験はある。
	しかし、ここまで心が乱れたことはなかった。
	わたしの中では、これが普通のことではないと理解していたのである。
	しかし、ここまで重要視する必要もないであろう。
	しかし、決断することができないのだ。
	
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