わたしは瞼(まぶた)を閉じて、この鳥肌の原因に対して意識を集中した。
すると、すぐに敵意を見付けることができた。
その敵意を手繰り寄せていると、どこからともなく小さな声のような音が微かに聞こえてくる。
集中して聞いても、何を言っているのかを聞き取ることはできなかったが、それは何かを悔しがっているように思えた。
敵意と共に、悔しいという感情が伝わってくるのである。
それが発せられる場所に近付いて行くほどに、わたしは胸を引き裂かれるような痛みを感じていた。
これ以上は進みたくないと思ったが、進まなければならないという気持ちが勝るのである。
わたしはこの痛みの中に何か懐かしさを感じていた。
0 件のコメント:
コメントを投稿