瞼の裏の暗闇を見詰めると、すぐに人影が現れた。
それは後姿の女性であった。
彼女は後姿から察するに十代前半の女の子という容姿である。
この人を見て、わたしは直感が働くのを感じた。
この人がわたしを否定しているのだと。
弾かれるようにして瞼が開いた。
わたしは喜びを感じていた。
それは、あの女性はわたしを否定しているのだが、わたしに会いに来たからである。
後姿を見せてはいるが、姿を見せたのだ。
本当に嫌なら、姿を見せるのも嫌であろう。
わたしには、この否定する行為が彼女の本意ではないような気がしてならなかった。
そのために、嬉しかったのである。
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