女は明らかに戸惑っていた。
表情は相変わらず怒りに満ちていたが、心には動揺が生じていた。
「許しなさい」
その時、大天使ミカエルの声が天から響いた。
わたしはその言葉に従い、女に向かって「あなたを許す」と告げた。
すると、その言葉を合図に女の汚れた髪の毛が毛先から真っ白に染まり、やがて全体が灰のようになった。
耳を劈(つんざ)くような悲鳴が轟(とどろ)いた。
驚いて見ると、目と口を大きく開いた女が、目と口から大量の黒い煙のようなものを吐き出していた。
わたしの首から髪の毛の束が落ちた。
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