今までの人生において、わたしは嫌なことから逃げ続けてきた。
気に食わないことは投げ出し、難しいことは諦めていた。
努力や辛抱という言葉が嫌いで、何一つ積み上げてきたものがなかった。
その結果、わたしにはこれと言って誇れるようなところなどないのである。
わたしは自らの現状に絶望していた。
仕事はあるが、それはわたしが極めたいと思える道ではなかった。
そもそも、養殖の仕事は自分のために始めた訳ではない。
それは、家族を支えるためであった。
その仕事を除いてわたしには何もない…
わたしの兄も親友と呼べる友も、自らの道を求め、一心不乱に歩んでいる。
わたしにはそれが、己の人生の道を開拓しようと努めているように映るのであった。
わたしもそう成りたかった。
ところがわたしには歩むべき道がない。
養殖の仕事には真剣に取り組んではいても、それにはわたしの心を満たすほどの力はなかった。
どこを目指して歩むべきなのか?
このままで良いのか?
考える時期でもあったのである。
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