すると二匹の狐はいつの間にかにその姿を消していた。
わたしが呆気にとられていると、足首に何かの感触を得た。
目線を下ろすと二匹の狐がわたしの足首に絡み付くようにしていた。
わたしはそれを嬉しく思った。
その時、二匹は同時にわたしを見上げた。
そしてその場から消えたかと思うと、わたしの肩にそれぞれが乗っていたのである。
わたしは少し驚いたが、何とも言えない温かな気持ちに心が和むのであった。
感覚的には「ありがとう」と伝わってくるように思える。
わたしはその感覚に対して「気にすることはないよ」と答えた。
すると、右肩に乗っている狐が「これから一緒にいてもいい?」という意思を伝えてくるのが分かった。
これらの会話は感覚的なものである。
それは言葉でも声でもなく、意思というダイレクトな形で伝わってくる。
意思疎通というのが正しいのかもしれない。
仕事でもスポーツでも何かの作業をしている時、言葉を投げ掛けなくても相手の気持ちや欲しているものが何となく理解でき、それに従った行動を起こすことがある。
言葉以外のツールが伝達手段となるのである。
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