牙を剥き出しにして怒りを露(あらわ)にする狐に対して、わたしはどのように接すれば良いのか分からなかった。
わたしはその場から一歩も動くことができずに、ただ固まっていたのである。
狐は恐怖と怒りに震えているのだろう。
狐に刺さっていた黒いものが人間が生み出してしまった苦しみであるのならば、狐がわたしに対して怒りを剥き出しにすることにも納得することができる。
わたしは人間が生み出してしまったであろう苦しみが、狐の小さな身体を突き刺し、苦しめてしまっていたことに反省した。
わたしたち人間は、知らず知らずの内に自然に対して苦しみを生み出してしまっているのである。
北灘湾(地元の海)にゴミが漂い、生物の種類が明らかに少なくなってしまったのも、人間が自分たちがより豊かに生きるために目指した環境作りの産物であるだろう。
自分たちは良いことをしていると思っているだろうが、それは人間目線での話であって、自然の中に生きる生命にすると、とても迷惑な話なのである。
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