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自身の体験をつづりたいと思います。
拙い文章ではありますが、お暇ならお付き合いください。

2012年7月25日水曜日

追憶 155

わたしのゲップに合わせて、狐は大量の黒いものを吐き出した。
それがどのくらい続いたのかは分からなかったが、いつの間にかにゲップも吐き出す黒いものも止まっていた。
わたしは酷い疲労感に襲われていた。
膝(ひざ)をついた状態から動けなかった。
狐も地面に伏せるようにしてピクリとも動かなかった。
わたしはこのままで疲労の回復を待つことにした。
酷い疲労感のせいで、少しも動くことができなかったからである。
その時、元気な方の狐が跳ねた。
軽い身の熟(こな)しは美しい放物線を描いた。
その放物線は倒れている狐とわたしを結んだ。
そして狐はわたしの身体にその身を擦り寄せてきた。
不思議なことに、狐がその身を擦り寄せると少しではあるけれど疲労感が取れて楽になったような気がする。
狐は何度も放物線を描いてわたしと倒れ込む狐の間を往復した。
少しずつではあるものの、狐のおかげでわたしは疲労感から何とか脱することができた。
多少は動けるようになった身体を引き摺り、未だに倒れ込んで動くことのできない狐の元へと向かった。
わたしが移動する間も、狐はわたしと倒れ込む狐の間を何度も往復しながら励ましてくれていた。

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