抱き締める力に比例するように、わたしの中には愛情が膨れ上がっていた。
わたしの気持ちが大きくなるほどに、狐の中の鼓動は大きくなるようであった。
そして、その鼓動が大きく広がり、この場を包み込んだ時、それは少しずつ小さくなり、狐の中に収まっていった。
鼓動が穏やかに収まった時、狐はゆっくりとその目を開いたのである。
目を開いた狐はとても穏やかであり、既に自らの状況を悟っているようであった。
その表情は凛と引き締まり、とても美しかった。
その時、もう一匹の狐がわたしの腕に擦り寄るように近付いてきた。
それに気が付いた腕の中の狐はわたしの腕を飛び出した。
それを追うようにしてもう一匹の狐も跳ねた。
わたしから少し離れた場所で二匹は久しぶりの再会を喜んでいるように身体を擦り合せていた。
二匹はとても幸せそうである。
わたしはその光景をとても嬉しく思い、時間の許す限りその光景を見つめているのであった。
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