暗闇に目を凝らすと見えてくるものがあった。
それは小さく黒い固まりであるように思える。
何かは分からないが、何か小さなものが暗闇の中にうずくまっているのだ。
わたしは足元を探るように小さな何かに恐る恐る近付いた。
すると、何やら小さなうめき声のようなものが聞こえてくるのに気が付いた。
それは犬が苦しい時に上げるクークーというような甲高い悲鳴であった。
その声を聞いた時に、わたしはそれを動物ではないかと考えた。
怪我でもしているのであろうか?
何らかの理由で動けないのは確かであろう。
わたしは用心しながら少しずつではあるものの、それに確実に近付いていった。
すると、そこには一匹の狐が倒れていた。
横倒しになっている狐は息が荒く、弱り果てていてとても苦しそうであった。
虫の息とはこのことであろう。
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