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自身の体験をつづりたいと思います。
拙い文章ではありますが、お暇ならお付き合いください。

2012年7月26日木曜日

追憶 156

重たい身体を何とか運び、わたしは倒れて動くことのない狐の元へと辿り着いた。
倒れている狐はぐったりとして動くことはなかった。
わたしはその場に膝(ひざ)を着き、倒れている狐を抱え上げた。
そして、そのまま抱き締めた。
その時、わたしは狐の中に何やら温かいものを感じた。
それは心臓が脈打ち、体内に血液を送り出すような感覚である。
命の鼓動とでもいうのだろうか?
狐の中に小さな力を感じる。
どのような表現が適切なのかは分からない。
それはまるで、何も無い大地に一つの芽が出たような感覚である。
わたしはそれをとても嬉しく感じ、心は躍動した。
いつの間にかに疲労感は消え去っていた。
わたしはそれに気分を良くし、狐を抱き締める力を一層強めるのであった。

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