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自身の体験をつづりたいと思います。
拙い文章ではありますが、お暇ならお付き合いください。

2012年7月8日日曜日

追憶 138

それは人間が生きる中で生み出す争いの感情や感傷、自然が破壊されることで生み出される命の悲鳴や怒りなどであった。
この狐は、世界に存在している苦しみをその小さな体で受け止めていたのである。
それは、この狐の立場というものが大いに関係しているのであろう。

狐の体に刺さる黒いものを抜こうとするがそれはとても頑丈で簡単には動く気配がなかった。
わたしは狐の様子を見ながら何度もそれを抜こうと試みた。
その中で、狐のことが何となくではあるものの、心の中に伝わってくるような気がした。
その感覚が正しければ、この狐は自然の中に存在する神である。
山や川、野原や田畑などの守護者・・・
そこ(自然)に宿る命と言った方が良いのであろうか?
狐からは野山を駈ける風を感じることができた。
木の葉を揺らし、地面に優しい木漏れ日を演出するような、とても穏やかで心地の好い感覚を得ることができる。
自然の力強さ、寛大さが心を通り過ぎていった。

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