叫び声が遠くに聞こえる。
それは、眠りに落ちる寸前の周りの音のように、ぼんやりとわたしを包んでいるのであった。
わたしの肉体が叫ぶのと同じように、威嚇を続けていた狐も苦しみ、叫び始めた。
もう一方の狐はそれでも身体を優しく擦り寄せている。
すると、苦しみ叫ぶ狐の動きが止まった。
俯(うつむ)き加減でピクリともしない。
わたしの肉体も叫ぶことをやめている。
その時、胸の奥に強烈な吐き気を感じた。
それは、乗り物酔いを更に酷くしたような感覚である。
そしてその感覚は胸から徐々に上がってきているように思えた。
嘔吐しそうな感覚に襲われた時、わたしは大きなゲップをしていることに気が付いた。
それと同時に狐が黒くドブドブした何か禍々しいものをその口から吐き出した。
それは生のレバーを黒くしたようなもので、感覚としてはとても気持ちが悪かった。
それを見た瞬間にまた吐き気を感じ、わたしはゲップを繰り返すのであった。
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