わたしはある違和感を感じていた。
それは、このハクという狐がわたしに甘えていることに対してであった。
ハクはわたしに甘えているのであろうか?
甘えているように見えているだけであって、甘えているとは限らないのではないかという疑問が浮かんだのである。
わたしはハクの意思を正確に読み取れているだろうか?
意識的な存在からの言葉というものは音ではない。
それはまるでテレパシーのように直接的に意識に伝わってくる意識の会話である。
心の声を相手とやり取りするような不思議な感覚であった。
そのため、聴覚を頼りに今までを生きて来たわたしにとっては、意識的な存在との意識的な会話というものに不慣れであった。
わたしが聞いた「ハク」という名も、正解かどうかは正直なところ分からない。
わたしは今一度ハクに意識を合わせ、その意思をできる限り正確に読み取るように努めた。
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