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自身の体験をつづりたいと思います。
拙い文章ではありますが、お暇ならお付き合いください。

2012年7月23日月曜日

追憶 153

わたしは狐に対してでき得る限りの同情をした。
しかしながら、それは人為的な行為ではなかった。
ごく自然に溢れる感情である。
それは「愛」であるだろう。
どうにか狐の力になってやりたいと思ったが、未熟なわたしには何をどうしてやればいいのか分からなかった。
今のわたしにできることは狐の苦しみに同情し、見守ることだけであった。
狐の抱える苦しみをでき得る限り自分の中で想像することくらいであった。
後は威嚇を続ける狐をなだめるようにしている狐を信じることだけである。
わたしが狐の苦しみを同情した時、わたしは遠くに自らの肉体が叫び声を上げていることに気が付いた。
それはわたしの意思ではなかった。
意思に反して勝手に肉体は叫んでいるのであった。
わたしは黒い犬のことを思い出していた。
わたしの心の中にいた黒い犬の時と同じように、肉体は勝手に叫んでいたのである。
これは狐の苦しみを肉体が表現したものに違いないと思うのであった。

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