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自身の体験をつづりたいと思います。
拙い文章ではありますが、お暇ならお付き合いください。

2012年5月29日火曜日

追憶 98

この時、なぜわたしは自身が悲しみを覚えていたのか、そのことについて自分では理解することができなかった。
当時の記憶は自分自身でも思い出したくないものであったし、そこには恥ずかしさや苦しみしか存在していないものだと思っていたからである。
しかしながら、今わたしがそこに感じるのは悲しみである。
わたしがそれをいくら否定しようとしてもその事実は変わることはなかった。
わたしは困惑した。
それは、わたし自身が過去に対して悲しみの感情など持ち合わせていなかったからである。
ならば、一体この感情はどこから来ているものなのであろう?
その原因を探すことが先決であるだろうと感じ、悲しみの感情に対して意識を合わせてみた。
するとそれは予想に反し、自らの心の中へと向かって進んでいくのであった。
その時点で、わたしの中には疑点が生まれていた。
それは、悲しみの感情に合わせた意識がなぜ自らに向けられていくのかが分からなかったのである。
わたしの中には悲しみの感情など無いと言うのに・・・
しかしながら、それは自らの過信であった。
自分でも気が付いていない部分ではあるものの、わたしの中には悲しみの感情が確かに存在していたのである。

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