このブログについて

自身の体験をつづりたいと思います。
拙い文章ではありますが、お暇ならお付き合いください。

2012年5月25日金曜日

追憶 94

五感は働いているものの、主導権をわたしは持たない。
まるで映画館で映画を見ているような感覚であった。
体感しているのである。
わたしはその状況に抵抗することに意味を見出すことができなくなっていた。
「流れ」に身を任せていることこそが最善であり、それに抵抗するのはどこか違うような気がするのであった。
ただし、「流れに」協力する意思は持っていた。
そこに明確な理由などはない。
ただ、そうすることが重要だと心(魂)が感じるのである。
わたしの身体は犬歯を剥き出しにして唸り声を上げているが、わたしはそれを好きにさせた。
それは発展だと思えたし、可能性であると感じたからである。
少しずつではあるにしても、確実に黒い犬に近付いているような感覚はあった。
わたしの変化は前進であり、その表現は黒い犬の感情に近付いているのである。
威嚇の表情も唸り声も黒い犬の感情を表したものであるだろう。
わたしは自らの変化が嬉しかった。
不思議と恐怖心はなかった。
普段、自らの意思によってほぼ自由に動かすことができる身体である。
しかし、今は自らの意思を離れている。
善く善く考えると普通ではない。
この世界は自らの常識の範疇には収まらなかった。
普通ではないこと、自らの常識から外れたことには恐怖心が生まれることが普通であると思っていたわたしにとって、この感覚は意外なものであった。

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