しかも、それらは無意識の内に行われていたことであり、今回のように意識が鮮明に働いている(認識が存在している)中で自らの意思に反して身体が動くということは初めてだったのである。
わたしはこの状況に対してどのような対応をすれば良いのか分からなかった。
正解というものがあるのかは分からないが、どのような対応が合理的であるのかを知りたいと思った。
しかしながら、それが分からなかったので、わたしは一先ず状況を観察してみることにした。
声帯は小さく振るえ、低く小さな声を絞り出している。
声帯自体には何の痛みもないが、声は苦しそうである。
この時、わたしは黒い犬が叫ぶことによって苦しみを解放しているのではないかと考えるようになる。
これは推測でしかないが、わたしたち人間も苦しい時は叫びたくなるし、叫ぶことや吐き出すことで幾らか救われるということもある。
黒い犬が叫び声を上げることで自らの抱える苦しみを少しでも解放しようとしているのであれば、わたしはそれに力を貸すことが重要ではないかと感じたのである。
わたしの身体が声を上げることで苦しみを少しでも解放することができているのならば、それは互いの利益に準ずるからである。
黒い犬は苦しみから解放されたい。
わたしはこの問題を解決したい。
黒い犬の目的がわたしの憶測と同じであれば、方向性は一致しているということになる。
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