このブログについて

自身の体験をつづりたいと思います。
拙い文章ではありますが、お暇ならお付き合いください。

2012年5月4日金曜日

追憶 73

わたしは声の出所を探した。

しかしながら、意識がぼんやりとしていてそれに集中することが難しかった。
わたしは詮索することを一旦は諦めて、自分自身に集中することに努めた。
すると、わたしは自らの肉体が自らの意思に反して動いていることに気が付いた。
声はわたしから出ているものだったのだ。
わたしの肉体は何故か天を仰いでいる。
そして、その声帯は静かに振動している。
これは一体どういうことなのだろう?
自分の肉体が自分の意志に反して動くことなんて今までにあっただろうか?
何かの拍子に反射的に動くことはあっても、それは一瞬のことである。
それはとても自然的であり、そこに違和感や疑問を覚えたことはなかった。
しかしながら、今回はそれとは明らかに違っている。
自らの意思によってではなく肉体が動く時間が長過ぎるのだ。
天を仰ぐ顔は口を大きく開けている。
そこから低いうめき声のように聞こえる小さな音が漏れている。
それが何なのかは分からない。
ずっと上を向いているので首が痛くなってきた。
すると、一瞬ではあるが、わたしの中に何か小さな意思のようなものを感じた。
それは普段から知っている自分自身の意思とは異なる「形」をしているものだった。

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