このブログについて

自身の体験をつづりたいと思います。
拙い文章ではありますが、お暇ならお付き合いください。

2012年5月13日日曜日

追憶 82

やはり、すぐに限界は訪れた。
これ以上先へ進めなくなったわたしはその場に膝(ひざ)から崩れ落ちた。
その時、何者かの気配を感じて顔を上げると、そこには暗闇に紛れるようにして黒い犬?のような顔が浮いているのが分かった。
暗闇の中にぼんやりと浮かんでいるので定かではないが、あれはきっと黒い犬に違いないと思うのだった。
それも歯をむき出しにしてわたしを威嚇しているようである。
この黒い犬がわたしを拒絶しているのだろうか?
黒い犬はとても大きな傷や苦しみを抱えているように思える。
傷付いた犬が人間を信用できなくなっているように、わたしのことを嫌い、拒絶しているのだろう。
なぜ、この黒い犬はこのように怒っているのであろう?
何故、このように苦しんでいるのであろうか?
わたしはこの黒い犬がどういう訳かとても愛おしく思えた。
他人とは思えないような変な親近感である。
なぜそのように思ったのかは分からなかったが、わたしの心はそのように告げるのである。

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