意識を研ぎ澄まし、深い部分に忍び込ませる。
集中する程に意識は鋭さを増し、少しずつではあるものの確実にその深部へと進んで行った。
その時、わたしはそこで自らのこれまでの人生がフラッシュバックするのを見た。
それは要所要所で区切られている記憶の投影であった。
高校生の時にどういう訳か熱中していた一人山歩き。
反抗期の異常な苛立ち。
小学生の頃の自らの意思に反する愚行。
幼少期の自身の記憶にない悪事。
これらのことがわたしの心の中を駆け巡り、強烈に胸を締め付けるのであった。
わたしはそれらの記憶を見るのをとても不快に感じていた。
できることならそんなもの見たくはなかった。
捨て去りたい過去なのである。
目を伏せておきたかった。
しかしながら、記憶は容赦なくわたしを襲い、その心を寸寸(ずたずた)に切り裂くのであった。
わたしはそこに痛いとか苦しいとか、そういう感情よりも悲しいという感情を強く感じていた。
とにかく悲しい。
そして、辛いのである。
この感情は一体何なのだろう。
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