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自身の体験をつづりたいと思います。
拙い文章ではありますが、お暇ならお付き合いください。

2012年3月25日日曜日

追憶 33

拳が立てた鈍い音は、掛け布団に拳がめり込んだものだった。
その瞬間に目が開いた。
そして、何時の間にかに金縛りは解けていたのだった。
わたしは乱れる呼吸と激しい喉の渇きを覚えていた。
部屋の中は消灯しているために真っ暗だった。
辺りを見渡したが女の姿はどこにも確認することは出来なかった。
既に気配も感じない。
去って行ったのだろうか?
わたしは全身が気怠(だる)いと感じていた。
いくらか頭痛も感じる。
それに軽くではあるが、鳥肌がまるで砂浜に打ち寄せる波のように何度も肌を触っている。
不思議である。
わたしは金縛りというものを体験したのはこれが始めてだった。
振り返ると少々の怖さはあったけれど、全体的に怖さよりも苛立ちの方が強かったように思える。
金縛りというものを体験する前には、わたしの中には様々な憶測があった。
しかしながら、実際に体験してみると想像していたものとはずいぶんと違うものであるという感想を持った。
わたしが苛立ったのはきっと、女の力になれなかった自分自身の不甲斐なさに対してではないだろうか?
押さえ付けられることに対する不満もあったが、それは表面的な理由であるような気がする。
わたしは去って行った女の行方が気になっていた。
傷付けてしまったのではないかと考えていた。

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