当時、わたしは250ccのバイク(YAMAHATTR250)を所有していた。
そのため、飛行機でただ愛媛に帰るのも面白くないと感じたので、バイクで帰ることにした。
冒険気分である。
途中の大阪と愛媛県西条市に住んでいた友人のところに厄介になる計画を立て、着替えだけを持って国道一号に飛び乗った。
7月の朝でもバイクでは肌寒く感じた。
途中、走りながら何時の間にかに寝ていて記憶がないところもあったが、何とか夕方には大阪まで辿り着くことが出来た。
大阪に到着すると、わたしは早速友人の住むアパートを探した。
しかしながら、土地勘がないために辿り着くことが出来なかった。
わたしは一先ず休憩しようと思い、路肩にバイクを停めた。
歩道に降りて伸びをした。
石のように固まった身体はギシギシと音を立てて伸びた。
わたしはバイクに腰掛け、友人に連絡を入れた。
友人は仕事中だったようで応答がなかった。
わたしはとりあえず誰かに聞いてみようと思った。
しかしながら、ほとんど人が歩いていなかった。
見渡すとオフィス街のような雰囲気である。
わたしはここから移動して人を探そうとしたのだが、そこにベストタイミングで20代前半くらいの若い男性がこちらに向かって歩いてくるのが見えた。
わたしは直感的にこの人だと思った。
男性が近付くとわたしは声を掛けた。
「すみません。道を聞きたいんですけど…」
すると、男性は笑顔で話を聞いてくれた。
わたしはここから友人の住むアパート付近への道を尋ねた。
すると、男性は口頭で説明してくれるのだが、男性もはっきりとした道順は分からずに自信なさげだった。
すると男性が急に「ちょっと待っててな!」というと何処かへ走り去ってしまった。
わたしは呆気にとられてその場で待機することにした。
男性が走り去って10分くらいが経った。
わたしは流石に違う人に聞こうと思い、移動する準備をしていると、遠くの方から「おぉ〜い」という声が聞こえた。
声が聞こえた方を見ると、先程の男性がこちらに向かって走っているのが分かった。
手には白い紙のようなものを持っていた。
男性は息を切らしながらわたしに二枚の紙を渡した。
それは地図をコピーしたものだった。
そこには赤線が引かれ、友人の住むアパートの付近までの道が記してあった。
0 件のコメント:
コメントを投稿