瀬戸大橋に入った瞬間に、わたしは全身を包み込んでくる温もりを感じた。
明らかに空気が違うのである。
海上に出たから気温に差があるのであろうか?
きっと海水の温度によって橋は陸地に比べて暖かいのだろう。
しかしながら、わたしはそれだけではないような気がしていた。
わたしは四国大陸がわたしのことを受け入れてくれているような気がしていた。
歓迎してくれているような感覚である。
どうしてそう感じたのかは分からなかったが、純粋にそう思ったのである。
わたしの中にあった恐怖心は何時の間にかに消え去っていた。
今は温かい気持ちで一杯である。
わたしは嬉しさに満たされながら瀬戸大橋を渡り切った。
香川県に上陸すると、「よく戻った…」そう聞こえた気がした。
勘違いかも知れないが、小さくそう聞こえた。
わたしの心は更に嬉しさを増し「ただいま!ありがとう!!」などと叫んでいた。
フルフェイスのヘルメットの内部に声が反響し、耳が痛かった。
しかしながら、それがとても楽しかった。
それから何度も「ありがとう!」などと叫び、一人で笑っていた。
今になって考えると変である。
わたしはその足で西条市に住む友人宅に一泊し、それから故郷である宇和島市に帰ったのである。
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