因(ちな)みに、わたしは目で見ているのではない。
肉体で言うところの五感とは違うテレパシーのような力によって、空間認識をしているのである。
黒いHは動きを止めた。
沈黙しているのは、肩に触れている掌(てのひら)からわたしを理解するためではないだろうか?
わたしは脅威(きょうい)ではないこと、安心することを伝え続けた。
心を閉ざしている存在と向き合うには、時間と辛抱が必要である。
黒いHの肩に触れている間、わたしの肉体は叫び声とゲップによって、黒いHの抱える抑圧された感情と、それによって生じたネガティブな意識を光へと帰し続けていた。
0 件のコメント:
コメントを投稿