わたしはHに問い掛けた。
それは、赤ん坊の名前を知りたいか?ということである。
Hは何の迷いもなく返事を返した。
それは直感的な反射であるように思えた。
そこでもう一度問い掛けた。
答えは同じであった。
わたしは、真っ直ぐに見詰める瞳に光を見た気がした。
そこで、わたしは赤ん坊の主張が絶対ではないこと、わたしの勘違いかも知れないことを念押しした。
それでも同じ答えを返すHは”試験”に合格したような気がした。
そこで、わたしは名前を告げることを決心したのである。
赤ん坊の名前を告げると、Hはそれを即決した。
その迷いの無い意思は、夜空を駆ける流星のように美しかった。
その日から、赤ん坊はRと呼ばれるようになった。
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