その日、わたしは家業である真鯛の養殖業のために船で移動していた。
強い日差しが目を焼き、エンジン音と波を切る音が耳を塞いでいる。
わたしはいつもと同じ状況に対して、何気無く船を走らせていた。
その時、わたしは人の話し声を聞いた気がした。
周囲を見渡しても、誰かがいるはずもない。
わたしは走行中の船の上にいるのである。
同乗者の声も聞き取りにくい状況であるのだ。
気のせいと思い運転を続けた。
すると、再び人の話し声のようなものが聞こえた。
それは、先程よりも鮮明に聞こえた。
そこでわたしは船の速度を落として、聞き耳を立てた。
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