後日、わたしはRの両手には中指が無いことを聞かされた。
そこで、わたしはRの手が気になったことを思い出したのである。
誰もがショックを受けた。
誰もがRを哀(あわ)れんだ。
誰もがRの前途に絶望していた。
誰もが、思い描いた幸せを投げ捨てた。
わたし以外の人達は、皆そのようにした。
わたしは彼等とは反対のことをした。
わたしはRの中指が無いことを知ると、それを喜んだ。
それは、わたしの価値観が他人と違うということを喜んだからである。
Rは生まれた瞬間から、他人と違うことが約束された。
それを喜ばずに、何を喜ぶというのだろうか?
わたしは学校教育によって個性を否定された。
皆と同じことを、同じように行うことを強制され、やがて能力を殺してしまった。
わたしは”神”からのプレゼントを取り上げられたのだ。
その方法は、20年でわたしを破綻させたのである。
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