黒い何かが何者で、何の目的でわたしたちの前に現れたのかは分からなかった。
しかし、不思議なことに、あの黒い何かが去ってからは、どこからともなく湧き上がる安心感がわたしの心を包んでいるようであったのだ。
わたしにはあの黒い何かが山の神様のように思えた。
姿はもちろん人のものではなかったが、感じるものも人のそれとは全く違う。
どのように表現すれば良いのか分からないが、あの黒い何かからは自然というものを感じるのであった。
それは人の命(魂)のように個体ではなく、自然という団体を感じさせた。
あの黒い身体の中には生命の息吹、大自然を感じることができたのである。
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