このブログについて

自身の体験をつづりたいと思います。
拙い文章ではありますが、お暇ならお付き合いください。

2012年8月28日火曜日

追憶 189

二つの光が輪郭を形成すると、それはいつもの狐たちだった。
二匹とも純白の毛並みに、赤いアイラインが印象的であった。
今までは化粧などしていなかったと記憶している。
二匹はいつもの可愛らしさとは違い、座る姿勢に真剣さが感じられた。
背筋を伸ばした姿勢と澄ましたような表情は、凛としていて美しかった。
わたしは改めて、この二匹の狐が神であることを思い出すのであった。
しかしながら、わたしはいつもの調子で狐たちに話し掛けた。

「今日は聞きたいことがあってここに来たんだけど。実はお前たちのことなんだ。名前とかどこから来たのかとか、簡単なことでいいから知りたいと思ってね。良かったら教えてくれないかな?」

二匹は透き通るような美しい瞳をしていた。
それがわたしの心の中にまで届いているような感覚を得た。
狐たちはわたしの心の中を覗いているのであろうか?

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