今のわたしは自らの意思によって心境を選択することができない。
それは、黒い大蛇がわたしの心よりも強い力を持っているからだ。
わたしの心は黒い大蛇の破滅的な力によって飲み込まれてしまうのである。
逃げ出そうにもそれは難しかった。
まるで幻術にでもかけられたように心がいうことを聞かないのだ。
わたしは蛇の毒にやられた獲物を連想していた。
そして、わたしもその獲物なのだと悲しくなった。
暗闇の中に大蛇の黄色い眼球が浮かんでいる。
わたしはそれに逆らうことはできない。
「諦めよう…」
わたしがそう思った時、何かがわたしの頬をかすめた。
それは、わたしの後方より飛び出し、黒い大蛇に突き刺さった。
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