このブログについて

自身の体験をつづりたいと思います。
拙い文章ではありますが、お暇ならお付き合いください。

2012年8月27日月曜日

追憶 188

静寂の扉をすり抜けると、わたしは何か自由になるような感覚を味わうことができる。
それは身体を置き去りにし、重力から解き放たれるような感覚であった。
その状態であると、わたしは普段感じることのできないものを感じることができた。
そして、見ることができないものを見ることができた。
不思議なものである。
わたしの心の中に存在している静寂は、暗くて何もない真四角の空間であるような気がする。
これは感覚的なものであるから何とも言えない。
意識的な世界なので、心や価値観のように形は不確定なものではあるだろう。
今のわたしにそれはそう認識することができたということである。
目の前の真っ黒に対して意識を集中してみる。
何もない暗闇を空間の中心に集めるような感覚であった。
それをしばらく続けていると、暗闇の中に何か白っぽい何かのっぺりとしたものが浮き上がってくるのが見えた。
それは水ににじむインクのようにゆらゆらと形を自在に変えながらその輪郭を少しずつ形成しているようだった。
それは目の前に二つ浮かび上がり、互いに追いかけ合うように回っていた。

0 件のコメント:

コメントを投稿