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自身の体験をつづりたいと思います。
拙い文章ではありますが、お暇ならお付き合いください。

2012年8月24日金曜日

追憶 185

黒い大蛇の姿が完全に暗闇の中に消えると、わたしは悔しいようなどこか安堵したような不思議な感覚に見舞われていた。
全身の毛を逆立てていた狐たちはその威嚇を解いた。
そして、わたしを心配そうに振り返った。
その時の二匹の目には、緊張感から解き放たれた安心感を感じ取れた。
泣いているかのように潤んだ瞳は、朝日を映す朝露のように美しかった。
その目を見た時、「良かった…助かったんだ…」素直にそう思えた。
わたしが覚えているのはそこまでである。
気が付くと、わたしは疲労が蓄積したかのような重たい身体で座っていた。
何時の間にかに意識的な世界から「こちら」に戻ってきたようだった。
頭が上手くは回らない。
何にも考えたくなかった。
思考を使おうとすると、軽く頭痛がした。
わたしは重たい身体に導かれるように、そのまま横になった。

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