青年を見送ると、次は大勢の足音が聞こえてきた。
見ると、先程の青年と同じように、大勢の落ち武者のような男達が渓谷を下って来ていた。
わたしは、自分がするべきことを理解した。
わたしは彼等を一人一人、光へと導いたのである。
この場所では、以前に戦でもあったのであろうか?
この辺りにも昔は小さな城が幾つもあったのではないかと思える。
長い歴史の中では、戦の一つや二つはあっただろう。
すべては推測を脱しないが、彼等の姿を見ると、悲惨な戦があったに違いない。
男達を見送ると、今度はどこからともなく幼い子どもの泣き声が聞こえてきた。
それも、一人や二人ではない。
大勢の子ども達が静かに泣いているようであった。
それは、渓谷に反響するように、四方八方から聞こえてきた。
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