わたしは気持ちを押し隠せるほど出来た人間ではない。
我慢ができなくて、親友を表に呼び出した。
そして、わたしの感じている違和感を素直に伝えた。
すると、親友の表情が少しだけ曇ったように見えた。
少しの間を置いて、親友が口を開いたが、それは、謝罪と真実の吐露(とろ)であった。
親友の話によると、父親は農作業中の心不全で亡くなったというのは嘘であるそうだ。
真実は、浴室で自らの命を絶ったということである。
その話を聞いて、わたしは今までの違和感が一気に腑(ふ)に落ちるのを認識した。
親友の父親が自分の通夜に参加していないのは、参加することが出来なかったからであろう。
きっと、自らの命を絶った浴室に今もいるのではないかと思えるのである。
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