親友の父親の頭や肩の辺りから、黒い煙のようなものが立ち上(のぼ)った。
それは、獣のような姿となって頭上にとどまった。
黒い獣と向き合うと、わたしは強烈な吐き気に襲われた。
そして、ゲップと共に黒い煙を吐き出した。
その時、黒い獣が、親友の父親の抱えていた欲望だと直感したのである。
人は誰でも欲望を所有している。
それは、未熟から生じる弱さであるだろう。
人は誰もが弱いのである。
そして、弱い者ほど欲望の虜(とりこ)となる。
親友の父親は、生きることを諦めてしまった。
それは、弱いからである。
わたしには具体的なことは分からないが、親友の父親の現状から推測すれば、弱さと欲望を抱えていたのだろう。
親友の父親は、自らの弱さと欲望によって命を失ってしまったのだと思えるのである。
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