その時、胸に込み上げるものがあった。
それは吐き気にも似た違和感である。
わたしにはその吐き気にも似た違和感が気持ち悪くて仕方なかった。
わたしの中の何かがそれを拒絶し、体外へと排出したがっているのである。
しかしながら、それは簡単には取り除けそうもなかった。
胸の中に溜まり、どうすればそれを吐き出すことができるのか分からなかった。
すると、わたしは自らの右手が胸を叩くのを認識する。
それをきっかけにして、胸の中の吐き気にも似た違和感が一気に込み上げる。
わたしは大きなゲップをしていた。
しかしながら、普通のゲップではない。
口からどす黒いものを吐き出すのである。
それはわたしの中に存在していた劣等感だろう。
黄金の杭によって砕かれたそれは、液体の様でもあり、気体の様でもあった。
空中を漂うそれはとても汚かった。
嫌悪感を覚えるのである。
それを吐き出すと胸がすっとして、何とも言えない心地良さが残るのであった。
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