前方に浮遊する黄金の杭は、わたしに自らを掴めと命令する。
わたしはそれを掴まなければならないという強い気持ちに導かれるように右手を伸ばした。
黄金の杭はわたしに強い意思を投げ掛けてくるようだった。
その強い意思はわたしを正しく導いてくれそうな父性を感じさせる。
その意思に従うことが、わたしにとっての最善であると、どこかで思えるのであった。
わたしは深くも考えずに、黄金の杭から発せられる意思に従うことにした。
目の前には見上げる程に肥大した劣等感が、まるでわたしを阻(はば)む壁のようにそびえ立っている。
劣等感が大き過ぎて、わたしにはその先が見通せない。
わたしの視界を塞ぎ、進路を閉ざしているのである。
わたしが先へと進み、豊かな心と人生を得るためには、この劣等感を正しく処理しなければならない。
正しく導かなければ、一層わたしの足を引っ張ることになるだろう。
ここで失敗したら、豊かな心と人生は手に入らないかもしれない。
今までのわたしならば、劣等感を正しく導くことはできなかったであろう。
しかしながら、今は違うように感じる。
黄金の杭を掴んでいると、劣等感さえ正しく導くことができるような気持ちになるのであった。
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