状態が回復するのを待ちながら、わたしは先ほどの光景を思い返していた。
わたしの中には様々な疑問があった。
先ずは「天使」という存在である。
天使と言えば、お菓子のロゴに使われていたエンゼルくらいしか思い浮かばなかった。
背中に鳥のように翼を持つ人間が天使という認識があるくらいで、天使に関する知識も記憶もわたしの中には何もなかったのである。
もちろん、「大天使」なんて名詞は知らない。
今でに聞いたことも使ったこともないと思う。
あの時、わたしの前に立った白人の青年には鳥の翼は生えていなかった。
しかしながら、彼は自らを天使と名乗った。
訳が分からない。
わたしは霊に触れ過ぎて頭がおかしくなってしまったのではないか?
わたしが見たのは幻覚で、聞いたのは幻聴だったのではないだろうか?
どちらかといえば、触れ合って来たのは仏教や神道の文化である。
天使?ヨーロッパ?キリスト教?
わたしには本当にこのくらいの認識しかなかったのである。
考えても答えに辿り着けそうもなかった。
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