鳴りもしない口笛と(無意識の内に)指を鳴らす練習は、それから毎日続いた。
気が付いた時にはそのどちらかをやっているのである。
仕事をしていても、食事をしていても、入浴時にも気が付いたらそれらを練習するようになっていた。
それは、とても自然的であり、あくびをすることやくしゃみをすることのような生理的現象のような感覚である。
それらはわたしの生活と感覚に対して徐々に溶け込んでいくのであった。
何のための口笛と指を鳴らす行為なのか?という疑問と不思議はあったが、それ自体は別に嫌な訳ではなかったので、それを良しとした。
日を追うごとに口笛は音を奏で始め、指は無意識の内に良い音を鳴らすようになっていった。
初めの頃は「フーフー」と空気の抜けるような口笛も、短い息を肚(はら)から吐いて「シュッ!」っと短くて甲高い歯切れの良い音を奏でるようになっていた。
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