このブログについて

自身の体験をつづりたいと思います。
拙い文章ではありますが、お暇ならお付き合いください。

2012年11月27日火曜日

追憶 280

わたしは黄金の杭を掴む右手を高く振り上げた。
わたしは自らの手で自らの劣等感を殺す。
黄金の杭を突き刺せば終わりである。
そうは確信していたが、それがとても難しかった。
なぜならば、目の前の劣等感がわたしの心を揺さぶるからである。
黒い球体の中から声が聞こえてくる。
それは劣等感の意思である。
それはわたしを庇護(ひご)してきたことを訴える。
劣等感が存在していたからこそ、恐怖から逃れることができた。
自らの内に逃げ込み、慰めてもらえた。
劣等感のおかげで挑戦することもなく、失敗して苦悩することもなかった。
わたしは劣等感によって苦しみを遠ざけ、護られてきた。
安心や安全の中に暮らすことができた…
劣等感は自らが如何にわたしにとって有益であるのかを訴える。
自らがいなければ苦しみを受け取ることになると…
でも、わたしはうんざりしていたのだ。
苦しみを遠ざけ、安心や安全の中に暮らし、負け犬のように生きていくことが。
偽りの平和や幸福を豊かさだと思い込み、それが正しいことだと信じ込もうとするくだらなさに。
弱い心になんて浸りたくはない。
劣等感に苛(さいな)まれ、背中を丸めて生きていたくはない。
わたしは劣等感にお別れを告げなければならない。
もう、一緒には行けないと…

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