吐き出したどす黒いものは宙を漂い、やがて何処へともなく消えてしまった。
次の瞬間には自らの感覚に戻っていた。
瞼を開いて部屋の空気を眺めたその時、身体にのしかかるようにして急に疲れが襲い、わたしはその場に座っていられなくなって身体を倒した。
目を閉じて考える。
わたしの中には膨大な量の劣等感が蓄積されていた。
それは幼少の頃から心の中に積りに積り、頑(かたく)ななものとしてわたしの価値観や人格を支えていた。
幸いなことに、今回はそれを一旦リセットする機会を得ることができた。
ある意味、これはわたしに対して、誰かがもう一度人格形成をやり直すチャンスを与えてくれたように思える。
より良い人格を築き、より豊かな人生を実現させるチャンスが与えられたのだと思えた。
わたしはこのチャンスを逃す訳にはいかない。
今までどれだけ多くの人に迷惑をかけてきたことか。
これは人生をやり直すチャンスなのである。
ここで間違ってはいけない。
期待に応えなければならない。
ここで間違ったら、わたしには次は無いように思えた。
このブログについて
自身の体験をつづりたいと思います。
拙い文章ではありますが、お暇ならお付き合いください。
拙い文章ではありますが、お暇ならお付き合いください。
2012年11月30日金曜日
2012年11月29日木曜日
追憶 282
その時、胸に込み上げるものがあった。
それは吐き気にも似た違和感である。
わたしにはその吐き気にも似た違和感が気持ち悪くて仕方なかった。
わたしの中の何かがそれを拒絶し、体外へと排出したがっているのである。
しかしながら、それは簡単には取り除けそうもなかった。
胸の中に溜まり、どうすればそれを吐き出すことができるのか分からなかった。
すると、わたしは自らの右手が胸を叩くのを認識する。
それをきっかけにして、胸の中の吐き気にも似た違和感が一気に込み上げる。
わたしは大きなゲップをしていた。
しかしながら、普通のゲップではない。
口からどす黒いものを吐き出すのである。
それはわたしの中に存在していた劣等感だろう。
黄金の杭によって砕かれたそれは、液体の様でもあり、気体の様でもあった。
空中を漂うそれはとても汚かった。
嫌悪感を覚えるのである。
それを吐き出すと胸がすっとして、何とも言えない心地良さが残るのであった。
それは吐き気にも似た違和感である。
わたしにはその吐き気にも似た違和感が気持ち悪くて仕方なかった。
わたしの中の何かがそれを拒絶し、体外へと排出したがっているのである。
しかしながら、それは簡単には取り除けそうもなかった。
胸の中に溜まり、どうすればそれを吐き出すことができるのか分からなかった。
すると、わたしは自らの右手が胸を叩くのを認識する。
それをきっかけにして、胸の中の吐き気にも似た違和感が一気に込み上げる。
わたしは大きなゲップをしていた。
しかしながら、普通のゲップではない。
口からどす黒いものを吐き出すのである。
それはわたしの中に存在していた劣等感だろう。
黄金の杭によって砕かれたそれは、液体の様でもあり、気体の様でもあった。
空中を漂うそれはとても汚かった。
嫌悪感を覚えるのである。
それを吐き出すと胸がすっとして、何とも言えない心地良さが残るのであった。
2012年11月28日水曜日
追憶 281
「お別れだ…」
わたしは小さく呟くと、掲げた右手を振り下ろした。
硬い岩に金属を突き立てるような感覚と共に、黄金の杭は劣等感の中へと飲み込まれていった。
真っ黒な劣等感の中に入り込んだ黄金の杭は激しく輝きを放つ。
ひび割れるようにして、劣等感の内部からは金色の光が溢れ出していた。
あまりの眩しさに耐え兼ねて瞼(まぶた)を落とす。
すると、わたしの視界には光が届かなくなった。
わたしの目の前には真っ黒な瞼の裏側が映っている。
しかしながら、瞼を開いても、わたしの目の前にはもう劣等感は存在していないだろう。
直感的に先ほどとは違う場所にいると分かる。
わたしはもう心の中にはいないのである。
この真っ黒な瞼の裏側が、現実(肉体)のものだと理解することができた。
わたしはゆっくりと瞼を持ち上げようとした…
が、微動だにしなかった。
わたしは一瞬たじろいだが、すぐさまその状態を受け入れるのであった。
わたしは小さく呟くと、掲げた右手を振り下ろした。
硬い岩に金属を突き立てるような感覚と共に、黄金の杭は劣等感の中へと飲み込まれていった。
真っ黒な劣等感の中に入り込んだ黄金の杭は激しく輝きを放つ。
ひび割れるようにして、劣等感の内部からは金色の光が溢れ出していた。
あまりの眩しさに耐え兼ねて瞼(まぶた)を落とす。
すると、わたしの視界には光が届かなくなった。
わたしの目の前には真っ黒な瞼の裏側が映っている。
しかしながら、瞼を開いても、わたしの目の前にはもう劣等感は存在していないだろう。
直感的に先ほどとは違う場所にいると分かる。
わたしはもう心の中にはいないのである。
この真っ黒な瞼の裏側が、現実(肉体)のものだと理解することができた。
わたしはゆっくりと瞼を持ち上げようとした…
が、微動だにしなかった。
わたしは一瞬たじろいだが、すぐさまその状態を受け入れるのであった。
2012年11月27日火曜日
追憶 280
わたしは黄金の杭を掴む右手を高く振り上げた。
わたしは自らの手で自らの劣等感を殺す。
黄金の杭を突き刺せば終わりである。
そうは確信していたが、それがとても難しかった。
なぜならば、目の前の劣等感がわたしの心を揺さぶるからである。
黒い球体の中から声が聞こえてくる。
それは劣等感の意思である。
それはわたしを庇護(ひご)してきたことを訴える。
劣等感が存在していたからこそ、恐怖から逃れることができた。
自らの内に逃げ込み、慰めてもらえた。
劣等感のおかげで挑戦することもなく、失敗して苦悩することもなかった。
わたしは劣等感によって苦しみを遠ざけ、護られてきた。
安心や安全の中に暮らすことができた…
劣等感は自らが如何にわたしにとって有益であるのかを訴える。
自らがいなければ苦しみを受け取ることになると…
でも、わたしはうんざりしていたのだ。
苦しみを遠ざけ、安心や安全の中に暮らし、負け犬のように生きていくことが。
偽りの平和や幸福を豊かさだと思い込み、それが正しいことだと信じ込もうとするくだらなさに。
弱い心になんて浸りたくはない。
劣等感に苛(さいな)まれ、背中を丸めて生きていたくはない。
わたしは劣等感にお別れを告げなければならない。
もう、一緒には行けないと…
わたしは自らの手で自らの劣等感を殺す。
黄金の杭を突き刺せば終わりである。
そうは確信していたが、それがとても難しかった。
なぜならば、目の前の劣等感がわたしの心を揺さぶるからである。
黒い球体の中から声が聞こえてくる。
それは劣等感の意思である。
それはわたしを庇護(ひご)してきたことを訴える。
劣等感が存在していたからこそ、恐怖から逃れることができた。
自らの内に逃げ込み、慰めてもらえた。
劣等感のおかげで挑戦することもなく、失敗して苦悩することもなかった。
わたしは劣等感によって苦しみを遠ざけ、護られてきた。
安心や安全の中に暮らすことができた…
劣等感は自らが如何にわたしにとって有益であるのかを訴える。
自らがいなければ苦しみを受け取ることになると…
でも、わたしはうんざりしていたのだ。
苦しみを遠ざけ、安心や安全の中に暮らし、負け犬のように生きていくことが。
偽りの平和や幸福を豊かさだと思い込み、それが正しいことだと信じ込もうとするくだらなさに。
弱い心になんて浸りたくはない。
劣等感に苛(さいな)まれ、背中を丸めて生きていたくはない。
わたしは劣等感にお別れを告げなければならない。
もう、一緒には行けないと…
2012年11月26日月曜日
追憶 279
それはどこからともなく沸き起こる自信であった。
黄金の杭がわたしの励みとなって生み出される力であるだろう。
自らの弱い心を倒せと投げ掛けてくる。
わたしは自らの抱える劣等感を倒すことができる。
わたしにならば乗り越えられる。
わたしの言うことを聞け。
お前はわたしの一部でしかないのだから。
お前にわたしを左右する権利は無い。
わたしの人生はわたしが決める。
手出しはするな。
わたしは自らを奮い立たせ、自信というよりは憤怒にも似た感情をたぎらせていた。
金輪際、わたしは劣等感には負けたくなかったのだ。
自信がなく、弱い自分とは決別するべきであると確信していたのである。
黄金の杭がわたしの励みとなって生み出される力であるだろう。
自らの弱い心を倒せと投げ掛けてくる。
わたしは自らの抱える劣等感を倒すことができる。
わたしにならば乗り越えられる。
わたしの言うことを聞け。
お前はわたしの一部でしかないのだから。
お前にわたしを左右する権利は無い。
わたしの人生はわたしが決める。
手出しはするな。
わたしは自らを奮い立たせ、自信というよりは憤怒にも似た感情をたぎらせていた。
金輪際、わたしは劣等感には負けたくなかったのだ。
自信がなく、弱い自分とは決別するべきであると確信していたのである。
2012年11月25日日曜日
追憶 278
前方に浮遊する黄金の杭は、わたしに自らを掴めと命令する。
わたしはそれを掴まなければならないという強い気持ちに導かれるように右手を伸ばした。
黄金の杭はわたしに強い意思を投げ掛けてくるようだった。
その強い意思はわたしを正しく導いてくれそうな父性を感じさせる。
その意思に従うことが、わたしにとっての最善であると、どこかで思えるのであった。
わたしは深くも考えずに、黄金の杭から発せられる意思に従うことにした。
目の前には見上げる程に肥大した劣等感が、まるでわたしを阻(はば)む壁のようにそびえ立っている。
劣等感が大き過ぎて、わたしにはその先が見通せない。
わたしの視界を塞ぎ、進路を閉ざしているのである。
わたしが先へと進み、豊かな心と人生を得るためには、この劣等感を正しく処理しなければならない。
正しく導かなければ、一層わたしの足を引っ張ることになるだろう。
ここで失敗したら、豊かな心と人生は手に入らないかもしれない。
今までのわたしならば、劣等感を正しく導くことはできなかったであろう。
しかしながら、今は違うように感じる。
黄金の杭を掴んでいると、劣等感さえ正しく導くことができるような気持ちになるのであった。
わたしはそれを掴まなければならないという強い気持ちに導かれるように右手を伸ばした。
黄金の杭はわたしに強い意思を投げ掛けてくるようだった。
その強い意思はわたしを正しく導いてくれそうな父性を感じさせる。
その意思に従うことが、わたしにとっての最善であると、どこかで思えるのであった。
わたしは深くも考えずに、黄金の杭から発せられる意思に従うことにした。
目の前には見上げる程に肥大した劣等感が、まるでわたしを阻(はば)む壁のようにそびえ立っている。
劣等感が大き過ぎて、わたしにはその先が見通せない。
わたしの視界を塞ぎ、進路を閉ざしているのである。
わたしが先へと進み、豊かな心と人生を得るためには、この劣等感を正しく処理しなければならない。
正しく導かなければ、一層わたしの足を引っ張ることになるだろう。
ここで失敗したら、豊かな心と人生は手に入らないかもしれない。
今までのわたしならば、劣等感を正しく導くことはできなかったであろう。
しかしながら、今は違うように感じる。
黄金の杭を掴んでいると、劣等感さえ正しく導くことができるような気持ちになるのであった。
2012年11月24日土曜日
追憶 277
わたしの中には何故かそのような感情が湧き上がっていた。
自らの中に居続ける劣等感を制御しなければならないという強い気持ちが溢れてくる。
わたしは熱意に燃えていた。
その時、わたしは自らの右手が前方へと差し出されるのを認識する。
差し出された右手は人差し指と中指だけを伸ばした状態で静止している。
その状態に対して、わたしは心を静め、意識を集中するべきだと考えていた。
深く息を吐き、心を止める。
一瞬の静寂がわたしを包み込み、鼓動さえも遠くなる。
すると、静寂に従うように、前方に差し出された右手はその場から一直線に振り下ろされた。
右手が描く軌道には黄金に輝く光が残されていた。
激しく輝く光が徐々に和らぐと、そこには黄金の杭が出現していた。
自らの中に居続ける劣等感を制御しなければならないという強い気持ちが溢れてくる。
わたしは熱意に燃えていた。
その時、わたしは自らの右手が前方へと差し出されるのを認識する。
差し出された右手は人差し指と中指だけを伸ばした状態で静止している。
その状態に対して、わたしは心を静め、意識を集中するべきだと考えていた。
深く息を吐き、心を止める。
一瞬の静寂がわたしを包み込み、鼓動さえも遠くなる。
すると、静寂に従うように、前方に差し出された右手はその場から一直線に振り下ろされた。
右手が描く軌道には黄金に輝く光が残されていた。
激しく輝く光が徐々に和らぐと、そこには黄金の杭が出現していた。
2012年11月23日金曜日
追憶 276
自らの心の内に存在している劣等感と向き合うことによって、それを乗り越えなければならないのだ。
それは、わたしが自らの人生を生きるためであろう。
夢や理想を実現し、自らの仕事(生まれてきた意味、生きる理由)を果たすためである。
そのためには、この劣等感という感情は必要ないのである。
劣等感をこのままの状態で所有しているのであれば、わたしは一生、本当の意味での自らの人生を生きることはできない。
これは、わたしが自らの人生を生きるための闘いである。
人生という道は自らの力で切り開く他ないのだ。
だからわたしは自らの劣等感と真正面から向き合う。
今までは理由を付けて避けてきたが、これからは違う。
力によって捻り潰さなければならないのである。
劣等感に飲み込まれるような人間が、夢や理想を実現させることなどできないのである。
それは、わたしが自らの人生を生きるためであろう。
夢や理想を実現し、自らの仕事(生まれてきた意味、生きる理由)を果たすためである。
そのためには、この劣等感という感情は必要ないのである。
劣等感をこのままの状態で所有しているのであれば、わたしは一生、本当の意味での自らの人生を生きることはできない。
これは、わたしが自らの人生を生きるための闘いである。
人生という道は自らの力で切り開く他ないのだ。
だからわたしは自らの劣等感と真正面から向き合う。
今までは理由を付けて避けてきたが、これからは違う。
力によって捻り潰さなければならないのである。
劣等感に飲み込まれるような人間が、夢や理想を実現させることなどできないのである。
2012年11月22日木曜日
追憶 275
人が人生に夢や理想、目的や目標を実現化するためには、心の力が必要である。
心が劣等感などの破滅的な感情によって萎縮してしまえば、それらを追求する力を生み出すことはできない。
人は誰しも、何らかの劣等感を抱えている。
それが自らを妨げていることは分かっていても、多くの人はそれを乗り越えることができずにいるのである。
わたしの心の中に存在している劣等感が何を起源とし、具体的にどのような形をしているのかは分からないが、そのために自分自身に自信が持てないのは理解していた。
何らかの劣等感を抱えているために心が晴れないのである。
まるで足かせをしているような感覚なのであった。
わたしの目の前に存在している黒く大きな塊。
これはわたしの心(感情)である。
わたしの人格を形成している柱の一本だと、直感が教えている。
きっとわたしは、自らの心の中に存在している劣等感と向き合わなければならないのであろう。
心が劣等感などの破滅的な感情によって萎縮してしまえば、それらを追求する力を生み出すことはできない。
人は誰しも、何らかの劣等感を抱えている。
それが自らを妨げていることは分かっていても、多くの人はそれを乗り越えることができずにいるのである。
わたしの心の中に存在している劣等感が何を起源とし、具体的にどのような形をしているのかは分からないが、そのために自分自身に自信が持てないのは理解していた。
何らかの劣等感を抱えているために心が晴れないのである。
まるで足かせをしているような感覚なのであった。
わたしの目の前に存在している黒く大きな塊。
これはわたしの心(感情)である。
わたしの人格を形成している柱の一本だと、直感が教えている。
きっとわたしは、自らの心の中に存在している劣等感と向き合わなければならないのであろう。
2012年11月21日水曜日
追憶 274
ある日の瞑想中にわたしは自らの破滅的な感情と向き合う機会があった。
わたしの心は幼い頃から歪んでいた。
劣等感にも似た捻(ひね)くれた感情が心に根を張り、それを蝕(むしば)む。
それは自力によって容易に取り除くことのできるものではなかった。
誰しも何らかの劣等感を抱えている。
それは、心の形成の失敗である。
未熟な価値観が植え付ける歪んだ種。
それが劣等感である。
しかしながら、人は皆唯一の存在であり、本来ならば優越感の塊なのだ。
自らの個性に対する間違った価値観がそれを歪めてしまう。
周囲と違うことや、勝手に劣っているという思い込みが人に劣等感を植え付けるのである。
劣等感は人から自信を奪う。
自信を失った心は活動を停止する。
心が躍動しなければ、力は生まれない。
ならば、目標の設定や目的意識の所持、夢や理想の追求などの人生における重要な仕事をこなすことはできない。
わたしの心は幼い頃から歪んでいた。
劣等感にも似た捻(ひね)くれた感情が心に根を張り、それを蝕(むしば)む。
それは自力によって容易に取り除くことのできるものではなかった。
誰しも何らかの劣等感を抱えている。
それは、心の形成の失敗である。
未熟な価値観が植え付ける歪んだ種。
それが劣等感である。
しかしながら、人は皆唯一の存在であり、本来ならば優越感の塊なのだ。
自らの個性に対する間違った価値観がそれを歪めてしまう。
周囲と違うことや、勝手に劣っているという思い込みが人に劣等感を植え付けるのである。
劣等感は人から自信を奪う。
自信を失った心は活動を停止する。
心が躍動しなければ、力は生まれない。
ならば、目標の設定や目的意識の所持、夢や理想の追求などの人生における重要な仕事をこなすことはできない。
2012年11月20日火曜日
追憶 273
「これ(黄金の杭)はお前を護り、多くの者を救う光となる。心して扱いなさい。力には相応の責任が伴う。見誤ってはならない。お前の意思が光の行く先を決める。正しく導くことだ」
大天使ミカエルが告げると、わたしは黄金の杭を持つ右手を自らの胸に押し当てた。
すると、黄金の杭は音も無く胸の中へと収まった。
胸の中へと入り込んだ黄金の杭は、そのままわたしの心に突き刺さった。
それは、わたしの心に対して強烈な正義感を注入してくるようである。
わたしの歪んでいる心を強制的に正すような、正しく叱られているような感覚である。
わたしにとってそれはとても心地の好いものであった。
心の中に澄んだ水が湧き出て、大地を潤すようである。
正義感は人に責任感をもたらす。
それも、建設的で貢献的な責任感である。
正義感がなければ人は正しく進むことはできないだろう。
わたしは正しく進むことを誓った。
今はまだ何が正しいのか?分からないが、わたしにはそれを追求する必要がある。
大天使ミカエルが告げると、わたしは黄金の杭を持つ右手を自らの胸に押し当てた。
すると、黄金の杭は音も無く胸の中へと収まった。
胸の中へと入り込んだ黄金の杭は、そのままわたしの心に突き刺さった。
それは、わたしの心に対して強烈な正義感を注入してくるようである。
わたしの歪んでいる心を強制的に正すような、正しく叱られているような感覚である。
わたしにとってそれはとても心地の好いものであった。
心の中に澄んだ水が湧き出て、大地を潤すようである。
正義感は人に責任感をもたらす。
それも、建設的で貢献的な責任感である。
正義感がなければ人は正しく進むことはできないだろう。
わたしは正しく進むことを誓った。
今はまだ何が正しいのか?分からないが、わたしにはそれを追求する必要がある。
2012年11月19日月曜日
追憶 272
黄金の杭を掴んだ時、わたしは漠然とした可能性を眺めた。
しかし、それはわたしを救うであろう希望の光に見えた。
今はまだ、洞穴の中から望む微かで滲んだ光ではあったが、わたしはそこに向かって歩むことができる。
希望の光を目指すことができるのである。
辿り着いた場所がどのような所なのかは分からない。
今のわたしが希望だと思い込んでいる光が絶望であるかもしれない。
しかしながら、洞穴の中で唯一わたしに望むことができたのがその微かで滲んだ光だったのである。
人は無限の可能性に繋がっているだろう。
しかしながら、自身の状態や状況からすべてを手にし、それを手繰り寄せることはできない。
人は盲目的であり、見えているものなどたかが知れている。
わたしに見えたのが、微かで滲んだ光だけだったように…
微かでも、滲んでいても、目の前に希望の光が見えたなら歩まなければならない。
一歩でも、半歩でも、行動を起こさなければならないのである。
わたしはこの洞穴の中から抜け出すことを誓った。
あの微かで滲んだ光を頼りに進もうと決めた。
しかし、それはわたしを救うであろう希望の光に見えた。
今はまだ、洞穴の中から望む微かで滲んだ光ではあったが、わたしはそこに向かって歩むことができる。
希望の光を目指すことができるのである。
辿り着いた場所がどのような所なのかは分からない。
今のわたしが希望だと思い込んでいる光が絶望であるかもしれない。
しかしながら、洞穴の中で唯一わたしに望むことができたのがその微かで滲んだ光だったのである。
人は無限の可能性に繋がっているだろう。
しかしながら、自身の状態や状況からすべてを手にし、それを手繰り寄せることはできない。
人は盲目的であり、見えているものなどたかが知れている。
わたしに見えたのが、微かで滲んだ光だけだったように…
微かでも、滲んでいても、目の前に希望の光が見えたなら歩まなければならない。
一歩でも、半歩でも、行動を起こさなければならないのである。
わたしはこの洞穴の中から抜け出すことを誓った。
あの微かで滲んだ光を頼りに進もうと決めた。
2012年11月18日日曜日
追憶 271
強烈な父性に抱かれて、わたしは素直に黄金の杭を掴んだ。
すると、その瞬間にわたしは心を雷によって撃ち抜かれたような衝撃を受けた。
美しい光の束が心を通り抜けるような感覚である。
わたしの心は激しく脈打っていた。
それはまるで、新しい玩具を与えられた子どものような心境であった。
その玩具を使って、頭の中に様々な楽しい想像を繰り広げる。
どうやって遊ぼうか?
どのような人物に成り切ろうか?
どこで遊ぼうか?
誰と遊ぼうか?
わたしが掴んでいる黄金の杭に対しての具体的な想像は生まれなかったが、物凄く大きな可能性を感じる様は、正に新しい玩具を与えられた子どもの心境なのである。
躍動する心は、わたしの寂れた心に働きかけ、土を耕す。
楽しい想像力は人の心の大地を耕す。
それは、柔らかく良い土壌を作る。
良い土壌には多くの命が芽吹くだろう。
今のわたしの心には命の芽はあまり吹いてはいないかもしれない。
しかし、いつの日か多くの命の芽が育つ。
それは、大きく育ち、やがて豊かな実りを恵むだろう。
すると、その瞬間にわたしは心を雷によって撃ち抜かれたような衝撃を受けた。
美しい光の束が心を通り抜けるような感覚である。
わたしの心は激しく脈打っていた。
それはまるで、新しい玩具を与えられた子どものような心境であった。
その玩具を使って、頭の中に様々な楽しい想像を繰り広げる。
どうやって遊ぼうか?
どのような人物に成り切ろうか?
どこで遊ぼうか?
誰と遊ぼうか?
わたしが掴んでいる黄金の杭に対しての具体的な想像は生まれなかったが、物凄く大きな可能性を感じる様は、正に新しい玩具を与えられた子どもの心境なのである。
躍動する心は、わたしの寂れた心に働きかけ、土を耕す。
楽しい想像力は人の心の大地を耕す。
それは、柔らかく良い土壌を作る。
良い土壌には多くの命が芽吹くだろう。
今のわたしの心には命の芽はあまり吹いてはいないかもしれない。
しかし、いつの日か多くの命の芽が育つ。
それは、大きく育ち、やがて豊かな実りを恵むだろう。
2012年11月17日土曜日
追憶 270
その杭は黄金の輝きを放ちとても綺麗だった。
わたしはその杭に見惚れてしまう。
それは、暖炉の炎を眺める時のような感覚である。
思考を無にして、ただぼんやりと景色を楽しむ。
あの安心感がそこにはあった。
黄金の輝きを放つ杭にはそのような不思議な魅力がある。
その時、美しく透き通った男性の声が聞こえた。
「それを掴みなさい」
その声は直接的に脳裏(もしくは心)に届く。
何の汚れも干渉もない、美しい調べであった。
その声の主は大天使ミカエルである。
わたしはその言葉が自分にとっては正しいことを知っている。
何の疑問も持たず、ただ素直にそれに従った。
黄金の杭は優しさと強さを併せ持つような光を放つ。
それをわたしは強烈な父性のように感じた。
神が存在するかは分からないが、宗教が神を「父」と現すのはこういうことなのかもしれないと思った。
わたしはその杭に見惚れてしまう。
それは、暖炉の炎を眺める時のような感覚である。
思考を無にして、ただぼんやりと景色を楽しむ。
あの安心感がそこにはあった。
黄金の輝きを放つ杭にはそのような不思議な魅力がある。
その時、美しく透き通った男性の声が聞こえた。
「それを掴みなさい」
その声は直接的に脳裏(もしくは心)に届く。
何の汚れも干渉もない、美しい調べであった。
その声の主は大天使ミカエルである。
わたしはその言葉が自分にとっては正しいことを知っている。
何の疑問も持たず、ただ素直にそれに従った。
黄金の杭は優しさと強さを併せ持つような光を放つ。
それをわたしは強烈な父性のように感じた。
神が存在するかは分からないが、宗教が神を「父」と現すのはこういうことなのかもしれないと思った。
2012年11月16日金曜日
追憶 269
ある日の瞑想中に、わたしは自らの身体が自らの意思の外で動いていることに気が付いた。
身体がふわふわと軽くなり、メトロノームのようにゆらゆらと左右に揺れることに加えて、右手が徐々に前方へと差し出されていた。
嫌悪感はなかったので抵抗などはしない。
むしろ、これから一体何が始まるのだろう?という期待感が膨らんでいくのであった。
わたしの右手は指先を美しく伸ばした状態で、前方に対して真っ直ぐに突き出されていた。
そして、おもむろに人差し指と中指だけを残して残りの指をたたむと、その2本の指を伸ばした右手をその場から勢い良く振り下ろした。
その時に、わたしは無意識の内に例の口笛を鳴らした。
右手の動きと口笛(呼吸法)は絶妙に合わさっている。
わたしの耳?には口笛の甲高く歯切れの良い音が何度も反響していた。
すると、目の前に一瞬金色の光が現れて視界を塞いだ。
そして、次の瞬間には目の前の暗闇を切り裂くようにして、「金色の杭」のような物が浮遊していたのである。
身体がふわふわと軽くなり、メトロノームのようにゆらゆらと左右に揺れることに加えて、右手が徐々に前方へと差し出されていた。
嫌悪感はなかったので抵抗などはしない。
むしろ、これから一体何が始まるのだろう?という期待感が膨らんでいくのであった。
わたしの右手は指先を美しく伸ばした状態で、前方に対して真っ直ぐに突き出されていた。
そして、おもむろに人差し指と中指だけを残して残りの指をたたむと、その2本の指を伸ばした右手をその場から勢い良く振り下ろした。
その時に、わたしは無意識の内に例の口笛を鳴らした。
右手の動きと口笛(呼吸法)は絶妙に合わさっている。
わたしの耳?には口笛の甲高く歯切れの良い音が何度も反響していた。
すると、目の前に一瞬金色の光が現れて視界を塞いだ。
そして、次の瞬間には目の前の暗闇を切り裂くようにして、「金色の杭」のような物が浮遊していたのである。
2012年11月15日木曜日
追憶 268
鳴りもしない口笛と(無意識の内に)指を鳴らす練習は、それから毎日続いた。
気が付いた時にはそのどちらかをやっているのである。
仕事をしていても、食事をしていても、入浴時にも気が付いたらそれらを練習するようになっていた。
それは、とても自然的であり、あくびをすることやくしゃみをすることのような生理的現象のような感覚である。
それらはわたしの生活と感覚に対して徐々に溶け込んでいくのであった。
何のための口笛と指を鳴らす行為なのか?という疑問と不思議はあったが、それ自体は別に嫌な訳ではなかったので、それを良しとした。
日を追うごとに口笛は音を奏で始め、指は無意識の内に良い音を鳴らすようになっていった。
初めの頃は「フーフー」と空気の抜けるような口笛も、短い息を肚(はら)から吐いて「シュッ!」っと短くて甲高い歯切れの良い音を奏でるようになっていた。
気が付いた時にはそのどちらかをやっているのである。
仕事をしていても、食事をしていても、入浴時にも気が付いたらそれらを練習するようになっていた。
それは、とても自然的であり、あくびをすることやくしゃみをすることのような生理的現象のような感覚である。
それらはわたしの生活と感覚に対して徐々に溶け込んでいくのであった。
何のための口笛と指を鳴らす行為なのか?という疑問と不思議はあったが、それ自体は別に嫌な訳ではなかったので、それを良しとした。
日を追うごとに口笛は音を奏で始め、指は無意識の内に良い音を鳴らすようになっていった。
初めの頃は「フーフー」と空気の抜けるような口笛も、短い息を肚(はら)から吐いて「シュッ!」っと短くて甲高い歯切れの良い音を奏でるようになっていた。
2012年11月14日水曜日
追憶 267
なぜそうなるのか?
それにどのような必要があるのか?
それがどのような意味を持つのか?
今のわたしには全く分からなかった。
ただ、上手く鳴らない口笛を身体が勝手に練習し、その技を身に付けようとしているように思えた。
今後、わたしが進む道に対して、それは何らかの意味と必要性を持つことなのだろう。
それから、もう一つ変化したことがあった。
それは、指を鳴らす行為である。
親指と中指を弾いて音を鳴らす。
昔のアメリカ映画で、男性がウェイターを呼ぶ時にするあれである。
最初は親指と中指を擦り合わせたいという欲求から始まった。
その欲求に導かれるように進むと、指を鳴らしたくなる欲求に駆られる。
しかしながら、欲求に対して反応している訳ではない。
不思議なことに、わたしが自らの意思によって動かさなくても、身体は勝手に動いているのである。
それにどのような必要があるのか?
それがどのような意味を持つのか?
今のわたしには全く分からなかった。
ただ、上手く鳴らない口笛を身体が勝手に練習し、その技を身に付けようとしているように思えた。
今後、わたしが進む道に対して、それは何らかの意味と必要性を持つことなのだろう。
それから、もう一つ変化したことがあった。
それは、指を鳴らす行為である。
親指と中指を弾いて音を鳴らす。
昔のアメリカ映画で、男性がウェイターを呼ぶ時にするあれである。
最初は親指と中指を擦り合わせたいという欲求から始まった。
その欲求に導かれるように進むと、指を鳴らしたくなる欲求に駆られる。
しかしながら、欲求に対して反応している訳ではない。
不思議なことに、わたしが自らの意思によって動かさなくても、身体は勝手に動いているのである。
2012年11月13日火曜日
追憶 266
「大天使…ミカエル…」
先ほどの雷によって、大天使ミカエルという名前は心に焼き付いたようだった。
忘れようにも忘れられないほどの衝撃であったからだ。
こんなに心に衝撃が走ったのは、好きな女の子に振られた時以来である。
わたしは大天使ミカエルという名前を生涯忘れることはないだろう。
頭とお腹を押さえたまま、わたしは寝転がった。
そして、そのまま眠りに落ちた。
大天使ミカエルに出会ってからというもの、わたしの身体には小さな変化が現れ始めていた。
瞑想時に出ていたゲップは明らかに頻度を増し、以前に比べると簡単になっていたように思える。
それから、これは新しい変化であったが、口笛を鳴らすようになっていた。
もちろん、自分が鳴らしたくて鳴らすのではない。
それをしたいという欲求が溢れ、身体がそれに従うのである。
口笛と言っても、メロディを奏でるようなものではない。
号令を掛ける時のホイッスルのような、短く鋭い音の口笛である。
口笛というよりは、呼吸法であるかもしれない。
先ほどの雷によって、大天使ミカエルという名前は心に焼き付いたようだった。
忘れようにも忘れられないほどの衝撃であったからだ。
こんなに心に衝撃が走ったのは、好きな女の子に振られた時以来である。
わたしは大天使ミカエルという名前を生涯忘れることはないだろう。
頭とお腹を押さえたまま、わたしは寝転がった。
そして、そのまま眠りに落ちた。
大天使ミカエルに出会ってからというもの、わたしの身体には小さな変化が現れ始めていた。
瞑想時に出ていたゲップは明らかに頻度を増し、以前に比べると簡単になっていたように思える。
それから、これは新しい変化であったが、口笛を鳴らすようになっていた。
もちろん、自分が鳴らしたくて鳴らすのではない。
それをしたいという欲求が溢れ、身体がそれに従うのである。
口笛と言っても、メロディを奏でるようなものではない。
号令を掛ける時のホイッスルのような、短く鋭い音の口笛である。
口笛というよりは、呼吸法であるかもしれない。
2012年11月12日月曜日
追憶 265
目を閉じて、心の口を開く。
「大天使ミハエル様。いらっしゃいますか?」
返事はない。
わたしは目の前の暗闇に同じ問いを投げた。
「わたしの名前は大天使『ミカエル』だぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!」
その時、わたしの頭の中に閃光が走った。
わたしは雷にでも打たれたのではないかと思った。
その声は黒雲に轟く雷鳴そのものであったからだ。
全身を何万ボルトもの電流が一気に通過していくような感覚によって、瞑想から強制的に弾き出されてしまった。
「!!!!!!!!」
わたしは言葉を失っていた。
思考が紡げない。
耳の奥では甲高い金属音が鳴り響いている。
心臓は激しく鼓動し、なぜか全身はピリピリと痺れていた。
荒れる呼吸をそのままに、わたしは胸と頭を押さえた。
「大天使ミハエル様。いらっしゃいますか?」
返事はない。
わたしは目の前の暗闇に同じ問いを投げた。
「わたしの名前は大天使『ミカエル』だぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!」
その時、わたしの頭の中に閃光が走った。
わたしは雷にでも打たれたのではないかと思った。
その声は黒雲に轟く雷鳴そのものであったからだ。
全身を何万ボルトもの電流が一気に通過していくような感覚によって、瞑想から強制的に弾き出されてしまった。
「!!!!!!!!」
わたしは言葉を失っていた。
思考が紡げない。
耳の奥では甲高い金属音が鳴り響いている。
心臓は激しく鼓動し、なぜか全身はピリピリと痺れていた。
荒れる呼吸をそのままに、わたしは胸と頭を押さえた。
2012年11月11日日曜日
追憶 264
これまで、意識的な存在と接する中で不思議なことはたくさんあったけれど、今回の体験はその中のどれよりも不思議に思う出来事であった。
正直なところ、わたしの中では「天使」という存在の位置付けができてはいなかった。
だから、天使と聞くと笑いそうになるくらであった。
状態が回復したら、もう一度交信を試みようと思った。
わたしが見たのが幻覚ではなく現実なのか?
「天使」は本当に存在するのか?
それを確かめたかったのである。
しばらくして、わたしは身体の自由が効くのを確信し、ゆっくりとその場に座った。
まだ身体には重さが残っている。
しかしながら、頭は冴えているように思う。
わたしはもう一度自らの心へと向かい、あの天使に会うために再び瞑想を始めた。
正直なところ、わたしの中では「天使」という存在の位置付けができてはいなかった。
だから、天使と聞くと笑いそうになるくらであった。
状態が回復したら、もう一度交信を試みようと思った。
わたしが見たのが幻覚ではなく現実なのか?
「天使」は本当に存在するのか?
それを確かめたかったのである。
しばらくして、わたしは身体の自由が効くのを確信し、ゆっくりとその場に座った。
まだ身体には重さが残っている。
しかしながら、頭は冴えているように思う。
わたしはもう一度自らの心へと向かい、あの天使に会うために再び瞑想を始めた。
2012年11月10日土曜日
追憶 263
状態が回復するのを待ちながら、わたしは先ほどの光景を思い返していた。
わたしの中には様々な疑問があった。
先ずは「天使」という存在である。
天使と言えば、お菓子のロゴに使われていたエンゼルくらいしか思い浮かばなかった。
背中に鳥のように翼を持つ人間が天使という認識があるくらいで、天使に関する知識も記憶もわたしの中には何もなかったのである。
もちろん、「大天使」なんて名詞は知らない。
今でに聞いたことも使ったこともないと思う。
あの時、わたしの前に立った白人の青年には鳥の翼は生えていなかった。
しかしながら、彼は自らを天使と名乗った。
訳が分からない。
わたしは霊に触れ過ぎて頭がおかしくなってしまったのではないか?
わたしが見たのは幻覚で、聞いたのは幻聴だったのではないだろうか?
どちらかといえば、触れ合って来たのは仏教や神道の文化である。
天使?ヨーロッパ?キリスト教?
わたしには本当にこのくらいの認識しかなかったのである。
考えても答えに辿り着けそうもなかった。
わたしの中には様々な疑問があった。
先ずは「天使」という存在である。
天使と言えば、お菓子のロゴに使われていたエンゼルくらいしか思い浮かばなかった。
背中に鳥のように翼を持つ人間が天使という認識があるくらいで、天使に関する知識も記憶もわたしの中には何もなかったのである。
もちろん、「大天使」なんて名詞は知らない。
今でに聞いたことも使ったこともないと思う。
あの時、わたしの前に立った白人の青年には鳥の翼は生えていなかった。
しかしながら、彼は自らを天使と名乗った。
訳が分からない。
わたしは霊に触れ過ぎて頭がおかしくなってしまったのではないか?
わたしが見たのは幻覚で、聞いたのは幻聴だったのではないだろうか?
どちらかといえば、触れ合って来たのは仏教や神道の文化である。
天使?ヨーロッパ?キリスト教?
わたしには本当にこのくらいの認識しかなかったのである。
考えても答えに辿り着けそうもなかった。
2012年11月9日金曜日
追憶 262
わたしが彼の手を取ると、視界が真っ白な光によって覆われ始めた。
「わたしはお前と共に在る。忘れてはならない。世界に光を導かん…」
薄れ行く視界の中で、彼はわたしにそう告げた。
視界を白い光が完全に包み込むと、次の瞬間には暗闇の中に放り出されていた。
わたしの目の前には暗闇が広がっていたが、それはとても懐かしく愛おしい暗闇である。
わたしはゆっくりとまぶたを開いた。
わたしは座った状態で瞑想を始めたが、覚醒した時にはその場に倒れ込んでいた。
瞑想時のように身体が異様に重たかった。
しばらく動けそうもない。
わたしは体力か精神力か分からないが、状態が回復するまでその姿勢のまま待つことにした。
「わたしはお前と共に在る。忘れてはならない。世界に光を導かん…」
薄れ行く視界の中で、彼はわたしにそう告げた。
視界を白い光が完全に包み込むと、次の瞬間には暗闇の中に放り出されていた。
わたしの目の前には暗闇が広がっていたが、それはとても懐かしく愛おしい暗闇である。
わたしはゆっくりとまぶたを開いた。
わたしは座った状態で瞑想を始めたが、覚醒した時にはその場に倒れ込んでいた。
瞑想時のように身体が異様に重たかった。
しばらく動けそうもない。
わたしは体力か精神力か分からないが、状態が回復するまでその姿勢のまま待つことにした。
2012年11月8日木曜日
追憶 261
圧倒的な威圧感に対して、わたしは背を向けたい気持ちでいっぱいだったが、それは許されなかった。
蛇に睨まれた蛙の心境である。
圧倒的なものと対峙した時、人は動くことができないのだろう。
わたしは青年に魅入られていた。
その時、青年がおもむろに右腕を差し出した。
それはわたしに向けられているようであった。
美しい指先を眺めていると、青年が口を開いた。
「わたしは大天使『ミハエル』。お前の盾となり、剣となる者。お前を守護する者。お前に力を与えよう…この手を取りなさい…」
自らを天使と名乗る青年はそう言ってわたしに差し出した手を更に伸ばした。
わたしは彼の雰囲気に圧倒されていた。
魂が痺れるという表現が正しいのかどうかは分からないが、心の深い場所が震えているようである。
わたしに選択の余地はなかった。
その美しい手を取らなければならないと強く思ったのである。
わたしは力を振り絞って、彼の右手を掴んだ。
蛇に睨まれた蛙の心境である。
圧倒的なものと対峙した時、人は動くことができないのだろう。
わたしは青年に魅入られていた。
その時、青年がおもむろに右腕を差し出した。
それはわたしに向けられているようであった。
美しい指先を眺めていると、青年が口を開いた。
「わたしは大天使『ミハエル』。お前の盾となり、剣となる者。お前を守護する者。お前に力を与えよう…この手を取りなさい…」
自らを天使と名乗る青年はそう言ってわたしに差し出した手を更に伸ばした。
わたしは彼の雰囲気に圧倒されていた。
魂が痺れるという表現が正しいのかどうかは分からないが、心の深い場所が震えているようである。
わたしに選択の余地はなかった。
その美しい手を取らなければならないと強く思ったのである。
わたしは力を振り絞って、彼の右手を掴んだ。
2012年11月7日水曜日
追憶 260
わたしが自らの体力(気力)に限界を感じた時、男を包み込む後光が一瞬激しさを増した後で和らいだ。
わたしは目を細めてその光景を眺めていた。
後光が和らぐと、男の姿を確認することができるようになった。
そこには、白人の青年がいた。
あどけない表情を残す青年は、肩よりも少し短い美しい金色の髪の毛と、新雪のように白く透き通る美しい肌を持っていた。
身体の線は細くしなやかではあるが、引き締まっていて強靭さも感じられる。
冷静さと情熱、そして、思いやりを浮かばせる表情は、微笑をたたえて知的である。
白人の青年は上半身が裸で、下半身は光に溶け込んで確認することができない。
そして、背後から彼を包み込む金色の光が彼を幻想的に見せていた。
その光景を目の当たりにしたわたしには畏怖の気持ちが芽生えていた。
只者ではない異様な威圧感…
わたしは泣いてしまいそうだった。
わたしは目を細めてその光景を眺めていた。
後光が和らぐと、男の姿を確認することができるようになった。
そこには、白人の青年がいた。
あどけない表情を残す青年は、肩よりも少し短い美しい金色の髪の毛と、新雪のように白く透き通る美しい肌を持っていた。
身体の線は細くしなやかではあるが、引き締まっていて強靭さも感じられる。
冷静さと情熱、そして、思いやりを浮かばせる表情は、微笑をたたえて知的である。
白人の青年は上半身が裸で、下半身は光に溶け込んで確認することができない。
そして、背後から彼を包み込む金色の光が彼を幻想的に見せていた。
その光景を目の当たりにしたわたしには畏怖の気持ちが芽生えていた。
只者ではない異様な威圧感…
わたしは泣いてしまいそうだった。
2012年11月6日火曜日
追憶 259
顔を上げた先には一人の男が立っていた。
わたしは男の姿を逆光の中に浮かび上がる輪郭を認識することで、かろうじて理解するのであった。
男の背後から差し込む金色の強烈な光が眩しくて、男の輪郭以外をうかがい知ることはできない。
わたしは眩しさに耐え兼ねて目を細めた。
今のわたしには顔を上げているだけでも大変なことである。
しかしながら、男から視線を外すことはできそうもなかった。
どうしても、男に魅かれてしまうのである。
わたしは男の姿を逆光の中に浮かび上がる輪郭を認識することで、かろうじて理解するのであった。
男の背後から差し込む金色の強烈な光が眩しくて、男の輪郭以外をうかがい知ることはできない。
わたしは眩しさに耐え兼ねて目を細めた。
今のわたしには顔を上げているだけでも大変なことである。
しかしながら、男から視線を外すことはできそうもなかった。
どうしても、男に魅かれてしまうのである。
2012年11月5日月曜日
追憶 258
自らのひざと手の甲を眺めながら、わたしはどうにか立ち上がろうと試みた。
すると、突然にわたしの目の前に人?の気配が現れた。
今までこの空間にはわたし以外には誰もいなかった。
そこに突如として現れた気配に驚いたが、疲労感がすぐにその驚きを掻き消した。
その時、わたしの脳裏には一つのイメージが浮かび、そのままそこに焼き付いてしまった。
それは、逆光の中に佇む人の姿だった。
背後から差し込む強烈な光が、人の姿を黒く染めている。
そんなイメージが脳裏に流れ込んできて、勝手にわたしに見せるのであった。
わたしにはこのイメージが目の前に現れた人の気配に関連しているのではないかと思えるのであった。
わたしはそれを確認しなければならなかった。
理由は分からない。
ただ、そんな気がするのである。
わたしは気力を振り絞って顔を上げた。
すると、突然にわたしの目の前に人?の気配が現れた。
今までこの空間にはわたし以外には誰もいなかった。
そこに突如として現れた気配に驚いたが、疲労感がすぐにその驚きを掻き消した。
その時、わたしの脳裏には一つのイメージが浮かび、そのままそこに焼き付いてしまった。
それは、逆光の中に佇む人の姿だった。
背後から差し込む強烈な光が、人の姿を黒く染めている。
そんなイメージが脳裏に流れ込んできて、勝手にわたしに見せるのであった。
わたしにはこのイメージが目の前に現れた人の気配に関連しているのではないかと思えるのであった。
わたしはそれを確認しなければならなかった。
理由は分からない。
ただ、そんな気がするのである。
わたしは気力を振り絞って顔を上げた。
2012年11月4日日曜日
追憶 257
白い翼を引き抜いた時、わたしの疲労は限界に達していた。
自身の身体が自分のそれではないような感覚である。
切れかけの蛍光灯のように、意識が点滅するような感覚に襲われる。
それを何とか保っているのが現状なのであった。
その時に気が付いたのだが、座る自分自身を見ていた視点は何時の間にかに消えていた。
座っているわたしの中に「わたし」はいたのである。
わたしは身体の重さに耐え切れなくなり、その場に手を突いて頭を垂れた。
背中の翼が重くてふらついた。
肩で息をする。
疲労は一向に回復する兆しはない。
どうすればこの状況を打開することができるのかを考えたが、身体が動かせないのでどうすることもできなかった。
自身の身体が自分のそれではないような感覚である。
切れかけの蛍光灯のように、意識が点滅するような感覚に襲われる。
それを何とか保っているのが現状なのであった。
その時に気が付いたのだが、座る自分自身を見ていた視点は何時の間にかに消えていた。
座っているわたしの中に「わたし」はいたのである。
わたしは身体の重さに耐え切れなくなり、その場に手を突いて頭を垂れた。
背中の翼が重くてふらついた。
肩で息をする。
疲労は一向に回復する兆しはない。
どうすればこの状況を打開することができるのかを考えたが、身体が動かせないのでどうすることもできなかった。
2012年11月3日土曜日
追憶 256
背中へと伸びた意識的な右腕は、そのまま背中の中に入っていった。
そして、その指先に何かが触れる感触がしたと思えば、それを掴んでいた。
それは、濡れた鳥の翼の感触そのままであった。
わたしの右腕はそれを引き抜こうとしているようであったが、うまくはいかない様子である。
すると、それを助けるようにして左腕が動き始めた。
右腕と同じように頭上へと高く伸びて、そのまま背中へと向かった。
背中に入ってた左腕は、右腕に同じく翼を掴んだ。
そして、それを力任せに引き抜き始めたのである。
しかしながら、簡単にはいかない。
しばらく格闘し、わたしはかなりの労力を費やして一対の白い翼を引き抜いた。
そして、その指先に何かが触れる感触がしたと思えば、それを掴んでいた。
それは、濡れた鳥の翼の感触そのままであった。
わたしの右腕はそれを引き抜こうとしているようであったが、うまくはいかない様子である。
すると、それを助けるようにして左腕が動き始めた。
右腕と同じように頭上へと高く伸びて、そのまま背中へと向かった。
背中に入ってた左腕は、右腕に同じく翼を掴んだ。
そして、それを力任せに引き抜き始めたのである。
しかしながら、簡単にはいかない。
しばらく格闘し、わたしはかなりの労力を費やして一対の白い翼を引き抜いた。
2012年11月2日金曜日
追憶 255
その時、わたしは自らの右腕がゆっくりと高く振り上げられるのに気付いた。
自分でそうしているのではなかった。
それはわたしの意思を離れたところで行われていることである。
身体が重たいので、腕一本を上げるのにも一苦労だった。
それを支えていると、今度はその腕が背中に向けて傾き始めた。
わたしはその方向には腕が曲がらないことを知っている。
しかしながら、腕は何の違和感もなく背中へと伸びていく。
幼い頃、ソフトビニールの人形で遊んだ。
はめ込み式の腕は肩を支点として一回転したものである。
今、わたしはその光景を思い出していた。
自らの腕が変な方向に曲がるのを見て、わたしの思考の中には「?」が列をなしていたが、どうやらわたしの常識は通用しないようである。
わたしは自らの肉体が動いているのを感じたいたが、それと同時に意識的な自分の身体?も連動しているようであった。
そのため、肉体的には関節の可動範囲を越えてはいないものの、意識的な身体はそれを無視しているのである。
だから、わたしの肉体である右腕は背中に触れてはいなかったが、意識的な右腕は背中へと伸びていくのであった。
自分でそうしているのではなかった。
それはわたしの意思を離れたところで行われていることである。
身体が重たいので、腕一本を上げるのにも一苦労だった。
それを支えていると、今度はその腕が背中に向けて傾き始めた。
わたしはその方向には腕が曲がらないことを知っている。
しかしながら、腕は何の違和感もなく背中へと伸びていく。
幼い頃、ソフトビニールの人形で遊んだ。
はめ込み式の腕は肩を支点として一回転したものである。
今、わたしはその光景を思い出していた。
自らの腕が変な方向に曲がるのを見て、わたしの思考の中には「?」が列をなしていたが、どうやらわたしの常識は通用しないようである。
わたしは自らの肉体が動いているのを感じたいたが、それと同時に意識的な自分の身体?も連動しているようであった。
そのため、肉体的には関節の可動範囲を越えてはいないものの、意識的な身体はそれを無視しているのである。
だから、わたしの肉体である右腕は背中に触れてはいなかったが、意識的な右腕は背中へと伸びていくのであった。
2012年11月1日木曜日
追憶 254
意識が二つあり、視点も二つあるのは不思議な感覚だった。
しかしながら、それが自然に行われているので、無理矢理にそこから抜け出そうとは思わなかった。
わたしはその状況に身を委ねることにした。
わたしの身体はまるで全身が鉛にでもなったように重たい。
しかも、全身が硬直しているかのように力が入っている。
わたしは全身の重さに耐え兼ねて、自然と前屈みになった。
それと連動して呼吸が荒くなる。
その状態はとても苦しかったが、別に嫌ではなかった。
それは、これから何か大切なことが行われるような感覚があったからである。
苦痛に耐えながら、わたしはその時を待った。
しかしながら、それが自然に行われているので、無理矢理にそこから抜け出そうとは思わなかった。
わたしはその状況に身を委ねることにした。
わたしの身体はまるで全身が鉛にでもなったように重たい。
しかも、全身が硬直しているかのように力が入っている。
わたしは全身の重さに耐え兼ねて、自然と前屈みになった。
それと連動して呼吸が荒くなる。
その状態はとても苦しかったが、別に嫌ではなかった。
それは、これから何か大切なことが行われるような感覚があったからである。
苦痛に耐えながら、わたしはその時を待った。
登録:
投稿 (Atom)