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自身の体験をつづりたいと思います。
拙い文章ではありますが、お暇ならお付き合いください。

2017年8月8日火曜日

追憶 1766

すると、黒い獣の全身が光に包まれた。
そして、光の粒となって砕けたのである。
光の粒は、天に輝く大きな光の先へと帰りたいようであった。
そこでわたしは、光の粒を両の掌(てのひら)で掬(すく)い上げて、天に輝く大きな光に向かって進んで行けるように息を吹き掛けた。
すると、光の粒は春の突風に巻き上げられた桜の花弁(はなびら)のように優美に舞い、大きな光に溶けるように消えたのである。

欲望は黒い煙のような姿をしている。
それは、破滅的な性質を持っているからである。
一見すると、それは悪いもののように思える。
確かに、その状態を良いとは言えないだろう。
しかしながら、黒い煙である欲望の本質は、光の粒である。
大抵の人は、光の粒と聞けば、良いもののように思うだろう。

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